「島根県で太陽光発電の補助金、結局いくらもらえるの?」というご質問を最近よくいただきます。県のホームページを見ても情報が分散していて、国・県・市町の3階建てを一発で把握するのは正直難しいですよね。
結論から言うと、島根県は条件次第で受給額が3倍以上変わる県です。新築ZEHか既築リフォームかで桁が変わり、施工業者を県内中小工務店にするか大手ハウスメーカーにするかで数十万円の差が出ます。さらに隠岐諸島では「売電そのものができない可能性」という、本土ではあり得ない落とし穴も。
私(エネパパ)は住宅向けの電気工事の現場で働いてきました。この記事では、松江・出雲・浜田・隠岐諸島まで、市町ごとの補助金額と「もらい逃し」しないための条件を全部まとめます。
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島根県の太陽光発電補助金2026年版【県の新築パッケージ最大210万円】

島根県の補助は「国・県・市町」の3つですが、足し算はできません。県の「しまね省エネ住宅・再エネ設備パッケージ補助金」(令和8年度)は、ZEHで最大165万円、ZEH+で最大210万円。ただし新築限定で、県産木材を使い県内の中小工務店が建てる住宅が条件です。さらに公募要領には「補助対象が重複する国の補助金や、国費が財源の市町村の補助金とは併用できない」とあります(島根県公募要領、2026年10月13日確認)。既築リフォームや全国チェーンのハウスメーカーの家は対象外です。
国・県・市町の制度早見表
| 階層 | 制度名 | 最大額 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 国 | みらいエコ住宅2026(GX志向型) | 110万円(1〜4地域は125万円) | 新築(GX志向型住宅) |
| 国 | 子育てエコホーム支援 | 2024年12月31日に受付終了 | 子育て・若者世帯 |
| 国 | DR補助金(蓄電池) | 2026年5月29日に公募終了(再開予定なし) | 全国 |
| 県 | しまね省エネ住宅・再エネ設備パッケージ | ZEH 165万円/ZEH+ 210万円 | 新築限定。申請は2026年12月25日まで(先着) |
| 市町 | 松江・浜田・出雲ほか各市町 | 市町ごとに異なる(要確認) | 居住者。県の財源を含む |
国のGX志向型(110万円)と県のパッケージ補助は、どちらも住宅の省エネ性能に対する補助なので、補助対象が重なれば併用できません。新築ならどちらか一方を選ぶ前提で、工務店と見積もりを組んでください。費用と回収の考え方は初期費用と回収期間の記事も参考にしてください。
県独自補助制度の対象条件(新築ZEH・県産木材・県内工務店)
「しまね省エネ住宅・再エネ設備パッケージ補助金(令和8年度)」の内訳はこうです(公募要領より。住宅はZEHかZEH+のどちらか一方)。
- ZEH+住宅本体:100万円(対象経費が上限)
- ZEH住宅本体:55万円(対象経費が上限)
- 太陽光発電:1kWあたり7万円、9kWまでで最大63万円
- 蓄電池:価格の1/3(1kWhあたり4.7万円まで)、10kWhまでで最大47万円
ZEHなら55+63+47=165万円、ZEH+なら100+63+47=210万円が上限です。受けるには、以下の4要件をすべて満たす必要があります。
- 新築ZEH住宅であること
- 柱・土台の県産木材の使用割合が35%以上
- 県産木材のグループに属する県内中小工務店(直近3年の新築元請が平均54戸以下)による施工
- FIT/FIP非取得+自家消費率30%以上
つまり既築への後付けや、全国チェーンのハウスメーカーで建てる場合は対象外です。令和8年4月9日より前に契約した工事も対象にならず、交付決定の前に着工すると補助は出ません(杭打ち・基礎工事は可、基礎断熱は不可)。申請は2026年4月13日〜12月25日の先着順で、予定件数に達すれば期間内でも締め切られます。
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国の補助金(みらいエコ住宅2026/子育てエコホーム・DR補助は終了)

国の制度を整理しておきます。表のうち子育てエコホーム、DR補助金、V2HのCEV補助金は、いずれも受付を終了しました。
| 制度 | 上限額 | 対象 | 県補助併用 |
|---|---|---|---|
| みらいエコ住宅2026 | GX志向型110万(1〜4地域125万)※ZEH水準の注文住宅は9/30で受付終了 | 新築のみ | 補助対象が重なれば不可(どちらか一方) |
| 子育てエコホーム | 2024年12月31日に受付終了 | 子育て世帯・若者夫婦 | — |
| DR補助金(蓄電池) | 2026年5月29日に公募終了(再開予定なし) | 全国 | — |
| CEV補助金(V2H) | 2026年8月27日に受付終了 | 全国 | — |
国のDR家庭用蓄電池補助(SII)は、2026年5月29日に交付申請額が予算に達して公募を終えました。SIIは「公募の再開を行う予定はありません」としています(SII公式・2026年10月確認)。子育てエコホーム支援事業も2024年12月31日、国のV2H補助(CEV)は2026年8月27日に受付を終えています。島根県で蓄電池に補助を使うなら、新築ZEHは県のパッケージ補助(蓄電池最大47万円)、既築は市町の補助が中心です。市町の補助に蓄電池が入っているかは、市町ごとに確認してください。
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島根県主要市町の補助金一覧表

県の「令和8年度 各市町村補助事業一覧」で住宅用太陽光の補助があるのは、松江市・浜田市・出雲市・益田市・大田市・安来市・雲南市・奥出雲町・飯南町・川本町・邑南町・津和野町・吉賀町・海士町・西ノ島町・隠岐の島町です(美郷町は蓄電池のみ)。下の表の金額は以前の調べによるもので、令和8年度の額は公式ページで確認できていません(要確認・申請前に各市町の窓口へ)。県のパッケージ補助と同じ設備で市町の補助を受けられるかも、窓口で確認してください。
| 市町 | 太陽光(金額は要確認) | 蓄電池 | 特記事項 |
|---|---|---|---|
| 松江市 | 12,500円/kW(上限5万) | – | 県の財源を含む制度 |
| 浜田市 | 3万/kW(上限12万)/39歳以下7万/kW(上限28万) | – | 若年世帯優遇 |
| 出雲市 | 上限10万円 | 同時設置必須 | 蓄電池併設条件 |
| 益田市 | 要確認 | – | 着工前申請・先着順 |
| 大田市 | 上限10万 | 同時設置で増額 | 詳細要確認 |
| 安来市 | 県補助充当方式 | – | 単独補助なし |
| 雲南市 | 4kWで最大28万 | 同時可 | 豪雪地帯対応 |
| 奥出雲町 | 県補助上乗せ+町内事業者で+5万/kW | – | 山陰合同銀行利子補給あり |
| 邑南町 | 1万/kW(上限4万) | – | 額は控えめ |
| 吉賀町 | 3kW以下35,000/kW、それ以上20,000/kW(上限12.5万) | – | 二段階構造 |
| 海士町・西ノ島町・知夫村 | 各町独自制度 | 蓄電池併設推奨 | 系統制約あり |
県東部・中部・西部のエリア差
東部(松江・安来・雲南・奥出雲)は県の財源を使った制度が中心。中部(出雲・大田)は蓄電池同時設置を条件に金額が増える設計が目立ちます。西部(浜田・益田・邑南・吉賀)は山間部の豪雪・送電制約を考慮した独自設計が多く、若年世帯優遇や町内事業者割増などの「特典型」が特徴です。
町内や県内の事業者が施工することを条件にしたり、上乗せしたりする制度もあります。県外の業者で見積もりを進める前に、住んでいる市町の要綱で施工業者の条件を確認してください。地域業者を選ぶかどうかで補助額が変わることがあります。
隠岐諸島3町村の特殊事情(系統制約・出力制御無制限同意)
ここが島根県最大の落とし穴です。隠岐諸島(海士町・西ノ島町・知夫村)は本土と送電線が連系されていないため、独立電力系統で運用されています。
2021年4月以降、再エネを新規接続する場合は無制限・無補償の出力制御に同意することが必須条件。つまり「天気は良いのに電気を捨てる」状況が制度上発生します。
ただし、悲観する必要はありません。隠岐ハイブリッドプロジェクトによりNAS電池とリチウムイオン蓄電池を組み合わせ、再エネ受入容量は2,300kWから8,000kWまで拡大されました。住宅用太陽光でも蓄電池併設による自家消費型にすれば、経済合理性は十分確保できます。
「隠岐は売電できないから無理」とあきらめる前に、蓄電池を併設して家で使い切る自家消費型で試算してみてください。売電に頼らない分、効果は家の電気の使い方で決まります。中国電力ネットワークへの事前協議が必要なので、隠岐での施工経験がある業者を選ぶのがポイントです。
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島根県で太陽光発電を設置する3つの注意点

中国電力エリアの出力制御
島根県は中国電力ネットワークの管轄で、2025年度の出力制御率は2.82%。九州エリア(5%超)に比べれば軽微ですが、年々増加傾向にあります。売電収入の試算では3〜5%の制御を見込んでおくと安全です。
豪雪地帯(奥出雲・雲南・浜田)の積雪対応
山間部は1m級の積雪があり、パネル架台の耐荷重設計を多雪区域仕様(600kg/㎡以上)に上げる必要があります。標準設計のままだと架台の歪みや雪滑り事故のリスク。地域経験のある施工業者を選ぶことが必須です。
FIT/FIP取得と県補助金の関係
県のパッケージ補助(ZEH 165万円・ZEH+ 210万円)はFIT/FIP非取得+自家消費率30%以上が条件です。「売電したいから」とFITを選ぶと、その時点で県補助の主要メニューから外れます。蓄電池の併設で自家消費を増やす設計が現実解になります。詳細な収支設計は売電収入・FITもご参照ください。
島根県の年間発電量シミュレーション

松江の年間日照時間は1,721〜1,773時間で全国45位。決して条件は良くありませんが、自家消費型なら十分元が取れます。
| 容量 | 年間発電量 | 自家消費70% | 売電30%(FIT24円) | 年間経済効果 |
|---|---|---|---|---|
| 4kW | 約3,900kWh | 約8.2万円削減 | 約2.8万円 | 約11万円 |
| 5kW | 約4,875kWh | 約10.2万円削減 | 約3.5万円 | 約13.7万円 |
| 6kW | 約5,850kWh | 約12.3万円削減 | 約4.2万円 | 約16.5万円 |
※電気料金30円/kWh、売電はFIT24円/kWh(2026年度の住宅用は最初の4年が24円、5〜10年目は8.3円)で計算。1kWあたり年間950〜1,050kWhで計算。卒FIT後は中国電力「ぐっとずっと。グリーンフィット」7.15円/kWhが基準です。詳しくは発電量シミュレーションで計算式を解説しています。
松江市で新築を考える40代の4人家族を例にすると、全国チェーンのハウスメーカーで建てる場合、県のパッケージ補助は使えません。県内の中小工務店でZEHにすれば最大165万円(ZEH+なら210万円)が対象になり、工務店選びだけで補助額が大きく変わります。県の補助は国のGX志向型や国費が財源の市町の補助と重ねられないので、どの組み合わせが得かを工務店ごとの見積もりで比べてください。業者選びの基本は業者選びの記事もどうぞ。
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太陽光・蓄電池と相性のよいV2Hについては、V2Hの費用と補助制度の解説はこちらをご覧ください。
よくある質問

Q. 島根県は日照時間少ないけど太陽光は元取れる?
A. 年間の効果から考えます。4kW(年3,900kWh)で、自家消費70%・電気単価30円・余りをFIT24円で売ると、3,900×0.7×30円+3,900×0.3×24円=年約11万円。24円は最初の4年だけで、5〜10年目は8.3円になるため年約9.2万円です。日照は全国45位でも、自家消費を増やせば効果は出ます。回収年数は設置費用で決まるので、見積もり額をこの年額で割って確かめてください。
Q. 隠岐諸島で太陽光つけたら出力制御で売電できないって本当?
A. 一部正解です。隠岐は本土と送電線が未連系で、2021年以降の接続は無制限・無補償の出力制御に同意することが必須。ただし、蓄電池併設で自家消費型にすれば経済合理性は確保できます。中国電力ネットワークへの事前協議が必要なので、隠岐対応経験のある業者選びが重要です。
Q. 県の補助金(最大165万円・210万円)は誰でも使える?
A. いいえ、新築のZEHかZEH++県産木材35%以上+県内中小工務店の施工がすべて必要です。既築リフォーム・大手ハウスメーカーの施工は対象外。既築の方は市町の補助が中心になりますが、令和8年度の金額は市町ごとに窓口で確認してください。
まとめ

島根県は「条件で3倍変わる」県。県のパッケージ補助(ZEH 165万円・ZEH+ 210万円)は新築で県内中小工務店が建てる家に限られるので、まず自分が対象かを判断するのが第一歩です。
この記事のまとめ
- 県のパッケージ補助(ZEH 165万円・ZEH+ 210万円)は「新築+県産木材35%以上+県内中小工務店」が条件。国のGX志向型とは重ねられない
- 既築は市町の補助が中心。令和8年度の金額は各市町の窓口で確認
- 隠岐諸島は出力制御無制限同意が必要だが蓄電池併設で自家消費型なら有効
- 豪雪地帯は多雪区域仕様の架台が必須・地域業者選びが安全性を左右
- 中国電力出力制御2.82%・松江日照時間1,721〜1,773時間で4kW年間約11万円
島根県は補助の制度こそ複雑ですが、組み合わせ次第で手出しを大きく下げられる県です。新築ZEHを検討中なら県のパッケージ補助(ZEH 165万円・ZEH+ 210万円)、既築なら市町補助が中心、隠岐諸島なら蓄電池併設の自家消費型——それぞれの最適解があります。まずは複数業者からの相見積もりで、自分の条件で何がもらえるかを正確に把握することから始めましょう。相見積もりのコツも参考にしてください。
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